オペラを観に

ザールラント州立劇場へ行きました。ヴェルディ「椿姫」再演公演です。一般的に、同じ演目、同じ演出、同じオーケストラ、同じ歌手でも、指揮者が違えば演奏だけでなく公演の雰囲気も変わってきます。指揮者によってはアリアの後の拍手で演奏が途切れるのを嫌って、強引に演奏を進めていく人もいれば、歌手に合わせて指揮を振る人もいます。今日の公演は後者でした。その場合、歌手がゆっくりと歌うと演奏もそれに合わせて遅くなっていき、曲が間延びした感じになることがあります。今日がまさしくそういった公演で、前半は間延びした緊張感のない演奏に聞こえて、観客も拍手がしずらいものがありました。

しかし休憩後の後半は前半とは違って、テンポよく惹きつけられる演奏でした。カーテンコールもいつもよりテンポが速い手拍子があって盛り上がりました。そういえば主役の歌手がまず一人で公演後の挨拶をした時、舞台にかがんで片手を床に置いたように見えました。それを見て某プロ野球選手がプレートに手を置いた光景を思い出しました。歌手がなぜ手を置いたのかは分かりませんが、もしかすると公演の成功を舞台に感謝しているのかもしれません。その光景を目にしたこともあって、何か良い印象を持って劇場を後にしました。