オペラを観に

ザールラント州立劇場に行きました。演目はヴェルディ「運命の力」(1862年サンクトペテルブルク初演)です。

これまで別の劇場を含めて何度か観たことがあります。しかし良い公演だったにもかかわらず、少し疲れたような記憶が多いです。というのは約3時間半の長いオペラで、集中力がもたないといった感じです。というわけで、今回もそれほど期待せずに劇場に行きました。

結論から書けば、非常に良い公演でした。これまで観た「運命の力」だけでなく、ここ最近観たオペラの中では最も良い公演でした。今回の歌手陣の迫力ある演奏は、今後もそう聴けるものではないかもしれません。演出や舞台も声が前に飛ぶように意識したものになっており、なおさら迫力ある歌を楽しむことができました。そしてオーケストラ。最後まで緊張感がきれずに非常に素晴らしい演奏でした。あえて本来と違う指揮者の日に観に行ったのも良かったと思います。その演奏の緊張感は客にも伝わって来るようで、観客も話を知っているにもかかわらずハラハラドキドキして観るような良い緊張感がありました。それだけ惹きつけられる舞台、演奏でした。カーテンコールの時も周りの年配の方々や若者たち、ほぼ全員が立ち上がって拍手をしています。

予定されている終演時間は午後10時45分ですが、実際は11時を回っています。終わってから劇場の階段を降りている時、前にいる年配の夫婦と思われる人たちが、「え、今11時15分?」「まさか、そんなになってないだろう。ほんまや」とまるでコントのようなやりとりをしていました。それだけ長く感じていなかったのもかもしれません。今回の公演を観られたのは本当に良かったです。